2014年2月アーカイブ

先日、「永遠の0」の映画を見ました。
その中で、特攻に行く若者が「今ほど戦争が終わった後の日本のことを考えたことはない」と言われるシーンがありました。
映画を観た後、微力ながらこれからも自分にできることを焦らす、一歩づつ続けようと新たな気持ちになりました。

終戦後、貧しい時代から日本を豊かにしようと努力してこられた先輩達のおかげで、今の自分も豊かな生活の恩恵を受けています。
でも、これからは経済、物などのハード優先でなく、人、いのち、心のソフトを大切にする時代へ転換していく大事な時期だと思います。
東日本大震災のあと、私たちの意識がどんどん変わってきているのを感じています。

助産師の仕事は、20年、30年先のことを考えてする仕事です。
今、生れた子ども達がやがて親になった時、どんな大人になっているか。
どんなお産をして、どんなふうに子どもをむかえ、子育てをしているか。
それは、どんな人が育ち、どんな日本になっているかという問題です。

自分のいのちを大切にし、子どものいのちを大切にし、人を思いやれる社会の実現のためにも、お産の現場はあたたかく、優しいものでなければ
ならないというのが私の思いです。
そして、今受けられる最良の医療と最良のケアを受けられるお産の現場。
産む本人、家族が自分達の役割に責任を持ち、医療者も医療者の責任を果たし、信頼関係がもてる。

安全なお産に大切なことは、医療のバックアップはもちろんですが、お母さんと赤ちゃんの自然の力が最大限に発揮されること。
そのためには、お母さんが心身共に健康であることと、リラックスして安心していることです。
そして、自分を信じて待って支えてくれる人がそばにいるという安心感。

お母さんがリラックスして安心できるには、人間同士の信頼関係と、そこに流れている落ち着ける空気と時間が必要です。
しかし、お産の現場は今そのような環境を提供するには厳しいものがあります。
産婦人科医師の減少と、助産師の不足、医療体制、病院経営の問題などで、現場は忙しく、余裕のない状態で疲弊している医師や助産師も少なくありません。激務の末、医師も助産師もやめてしまうケースもあります。
私自身、そんな施設で仕事もしていたので、そのストレスのすさまじさは理解できます。
事故を起こさないこと、無事仕事をこなすことに必死で、お産で大切な
落ち着ける空気と時間の提供、信頼関係を作る時間と待つ姿勢も作ることはとても無理です。

さらに、今女性の心と体が変わってきています。
実際、助産所を長年続けておられる方々が、
「20年前は10人助産院でお産をしたいという方があれば、9~10人は助産院で産めたけれど、今は半分も産めるだろうか・・・?」
ということを言われる方もあります。
助産所でお産をするには、妊娠経過が健康でなければなりませんが、切迫早産や、予定日が過ぎても生まれない、お産が長引いたり、赤ちゃんの回旋が悪くなったり、陣痛が弱くなったり。いろんな異常になる方がとても多くなっています。
その原因は、当たり前の生活ができなくなったこと。
3食バランスの良い食事。早寝早起き。それさえもできない人が増えています。
そして、体を冷やさない、適度な運動などの体をいたわる知恵の継承の不足。
妊婦さんがゆったり安心して過ごせる環境が整っていないこと。
そして、ストレスや不安をを感じやすい人が多くなっていること。(これは、自己肯定感が低いことも関係しています)

そのような中で、周産期医療の現場には、早産で産まれる赤ちゃん、医療の助けを受けなくてはならないお母さんが増え、医療者の仕事はますます増えています。
でも、そんな状況になった時、助けられなかった医療者に責任を追求する方はあっても、自分自身に問題があったと反省する方はほとんどありません。
なので、産婦人科の医師は訴訟を恐れ、ますますより安全にとお産の現場に医療介入を増やします。
そして、また女性の産む力と、赤ちゃんのうまれる力を引きだすお産が減っていき、女性の産む力はどんどん低下していきます。

助産師の役割は、科学的な知識と、経験、人間性にもとづき、女性の産む力を引き出す知恵を女性に伝え、女性自身が自分のからだと心の声を聞き、主体的に自分で健康な妊娠・出産ができるサポートをすることです。そして、安心して子育てできるサポートへとつなげていくこと。
助産師が自分達の役割を果たすことで、女性がもう一度産む力をとりもどし、やがてその体験を子育てや家族の健康へとつなげていくことができます。
そして、異常なお産や、早産でうまれる赤ちゃんを減らすことができ、医療者の負担を減らし、医療費の削減にもつながります。

また、子育てに不安を持つ親の増加、産後うつの増加、虐待の増加など子育ての問題の解決も親を支えていく地域の頼れる存在としての助産師の役割は大きいと思います。

これからの助産師はもっと力をつけていかなくてはなりません。
それは、医療的知識だけでなく、地域や行政のこと、日本全体の社会のしくみを知ること。
自分自身が心身共に健康で、家族や地域と繋がり自分の土台をしっかり持つこと。
そして自分の感性と人間性を日々高めていくこと。

女性の人生全般、20年後の子ども達の成長まで考えたケアが助産師の仕事です。
施設の仕事だけにとどまらず、地域にも目を向けてどんどん視野を広げる助産師が増え、施設にも、地域にも、頼れる助産師が増えることを願っています。

そんな助産師になりたいと思われる方は、ぜひ日本助産師会、自分の都道府県の助産師会にご入会ください。
一緒に、助産師として力をつけていきましょう。







助産所のお産とは

もうすぐ節分ですが、あたたかい日が続きます。
このまま春になってほしいですが、また雪が降るのでしょうね。
草木も春の準備を着々としている姿をみると気持ちがあったかくなります。

さて、今日は助産所のお産についてお伝えします。

 

助産所の出産の特徴

妊娠、出産は異常ではなく自然ないのちの営みであり、健康な方であれば、女性が安心して自信がもてる場であれば、助産所の出産も医学的にも認められているケアだと、WHO(世界保健機構)でも言われています。

しかし、自然なことだから何もしなくても大丈夫ということではなく、妊娠している女性の体は普段より頑張って働いているので、心身ともに健康管理をし、自分の力でお産をするという気持ちで妊娠生活を大切にしなければ、いろんな異常が起こりやすく、お産も大変なものになります。お産に100%安全というものはありません。20%は何らかの医療的処置が必要と言われています。

 助産所では、異常を起こさないように、母子共に健康な状態でお産に臨めるように女性に与えられた「産む力」赤ちゃんの持っている「生まれる力」を最大限に生かすサポートを助産師がさせていただきます。お母さんと赤ちゃんが心身共にいい状態でお産をすることは楽しい子育てへのスタートとなり、その体験は子どもや家族の健康、お母さん自身の生涯の健康、生き方にまでつながります。

お産の主役はお母さんと赤ちゃんであり、助産師はあくまでもサポート役です。

 

「産む力」「生まれる力」を生かすために

お産はホルモンがする一大事業です。ホルモンは、お母さんが十分な睡眠とバランスのとれた食事をとり、規則正しい生活の中、ゆったり、笑顔で楽しく、リラックスして過ごすという、当たり前の生活を大切にすることで力を最大限に発揮してくれます。

 

親になるということ

 新しい家族を迎えるにあたって、親には子どもに対する責任が生まれます。

大切なことは、どこでどんなお産をするか、誰が立ち会うかではなく、赤ちゃんにとって生命の安全と、これから生きていくためにその子にとって一番いい状態で生まれることができる環境を準備することが最初の親の責任です。

妊娠、出産の異常は突然起こりません。お母さん、家族の生活の中に原因があります。お母さんは自分の心身の健康と生活を整え、家族はその環境をつくるお手伝いをして準備することは赤ちゃんに対する親の仕事です。

子どもの心身の健康の源は、お母さんの妊娠中からの心身の健康から始まり、子育ては妊娠中から始まっています。お産の時には、お母さんが自分の力を信じ、家族はお母さんと赤ちゃんの力を信じて待つことが、子育てにおいて親が子どもを信じて待つ力の源になります。


医療のサポートについて

助産所では、安全で安心なお産を守るため、嘱託医、嘱託医療機関を持つことが医療法で義務づけられています。また、日本助産師会が提唱している「助産所ガイドライン」にそって健康な母子のお産のサポートをさせていただいています。ガイドラインの範囲を超える方は、早期に病院への受診、搬送をすることが決められています。

 

助産所でのお産を選ばれる方へ

助産所での出産はすべて自然です。促進剤も、手術もできません。自分の力で産みます。ですから、自分のからだの力が頼りです。

助産所での出産を選ばれる方には、自分と赤ちゃんの健康管理に責任を持ち、妊娠前よりも健康に気を使い、出産時は一番健康だというくらいベストコンデションで向っていただくことをお願いしています。

緊急時の対応は、病院に行くことになりますが、病院に着くまでに時間がかかること、助産所では病院のような緊急処置が十分できないことを理解していただきます。

病院でお産をしても、助産院でお産をしてもお産の責任は本来、自分自身にあること、その結果はご自身、ご家族が引き受けなければならないことをお伝えし、お産に対する心構えを持っていただいています。

 

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